クラウドファンディングでWebメディアを立ち上げるために何をして何を考えていたか

クラウドファンディングでWebメディアを立ち上げるために何をして何を考えていたか
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これはCAMPHOR- Advent Calendar 2018 9日めの記事です。

以前クラウドファンディングに成功してWebメディアを公開した。
「研究紹介Webメディア」として大学院生(を含め研究者)に自身の研究を紹介してもらうというものである。

この記事では、公開に到るまでに僕が何を考えて何をしていたのか、赤裸々に書いてみようと思う。

クラウドファンディングをした時のこと

似たサイトが既にあるかどうかを探す

まず、メディアのコンセプトが固まったら、似たようなメディアが既にあるかどうかを探す。

ただし、似てるものがあるということは企画をやめてしまう理由にはならない

似たメディアでもちょっと思っていたのとは違うポイントというのは、自分のメディアのコンセプトを明確にする良い機会になるし、コンセプトが本当に丸かぶりしていたとしても、自分が本当にやりたいという気持ちは何よりも強い原動力になる。

そして、全く独自なアイディアというものは存在しない

血眼になって探せば、何か似たものは見つかるはずだ。だから、似たものが既にあるのを知って落ち込むよりもそれを見て「自分はこういうものを作りたい」と考えていくのが大切だ。

クラウドファンディングは必要か

さて、メディアを作るとなると、お金が必要になる。自分で全て記事を書くならば時間だけで事足りるが、僕の場合はいろんな大学院生に書いてもらうというコンセプトなので、執筆料として渡すためのお金が必要だ。

無名のメディアに報酬も無いのに自分から寄稿する人などほとんどいないだろう。

資金を調達するという面と多くの人にプロジェクトを知ってもらうという広報の側面からクラウドファンディングはとても有用だと感じ、僕はクラウドファンディングを実施することにした。

プラットフォームを選定する

クラウドファンディングをする上で、まずはどこのプラットフォームを使うか決定する必要がある。大手に絞るとReadyforとCAMPFIREのどちらかにしようという考えになった。

自分のものと似たようなプロジェクトが成功している方にしようと思った結果、Readyforにすることにした。Webメディア立ち上げで150万円の資金調達に成功しているプロジェクトがあったのだ。

しかし準備を進めていく中で、Readyforで学生がプロジェクトを実施する際には社会人のメンバーとその人の契約書へのサインが必要だということが発覚した。

有事の際に後処理を任せられそうな人が見つからなかった僕は、CAMPFIREに変更することにした。

CAMPFIREでは学生のみでもプロジェクトを開始することができるとのことだったので、こちらを使うことにした。

CAMPFIREとReadyforではどのような違いがあるだろうか。

Readyforは信頼性のあるプロジェクトを手堅く実施するプラットフォームで真面目な社会貢献を意図したプロジェクトが多く、CAMPFIREは開かれていて誰でも手軽に使えるようなプラットフォームで若者の挑戦やユニークなプロジェクトが多かった。

自分に合ったプラットフォームを使えば良いだろう。

先行ライターを募集する

クラウドファンディングで「こういうことがしたい!」とだけ書いたところで、資金は集まらないだろうなと考え、何か事前に行動を起こす必要性を感じていた。

そこで、まずはライターの募集を先行して行った。
こんなメディアができた際に書いていただける人はいますかと研究室に宛ててメールを送りまくったところ、15人の先行ライターが集まった。

また、手伝ってくれそうな人には積極的に声をかけ、人を巻き込んでプロジェクトを進めているというのが外から見てもわかるようにした。

この段階で初めて実際にプロジェクトをCAMPFIREに掲載する準備を始めることになる。

写真をいただいたり、文章を考えたり、リターンを考えたりして、プロジェクトを公開するに至った。

人脈を全て使う

クラウドファンディングはとにかく最初が肝心だということはよく言われるので、とにかく最初に友人や先輩に声をかけ続けた。

LINEの友達一覧にいる全ての人間に「クラウドファンディングを開始したのでよかったら支援してください」という旨のLINEを送った。

誰か思い出せない人に対しても、LINEを送った。「ところでなんの知り合いでしたっけ?」という調子である。

もし僕が支援してくれそうだなと思った人だけに送っていれば支援してくれた人はもっと少なかったと思う。
最近連絡を取ってなかった人や、少し話をして盛り上がったが、その後会うきっかけがなくなってしまった人から支援してもらえた時はとても嬉しかった。

支援するかどうかを決めるのは僕ではなくその人なので、とりあえず全員にメッセージを送ってみるというのは良い案だと思う。

「この人には送らなくていいか」という例外を作ってしまえば、例外はどんどん増えて行き、本当は支援してくれる人にもメッセージが届かないだろう。

そして失うものも何もなかった。

友人に嫌な思いをさせてしまうという考えやよくわからない人からメッセージが来て邪険に思われるだろうという考えは脳裏を横切ったことがなかったのだ。

それは何よりこのプロジェクトに対して僕自身が誇れるぐらいの価値を感じているし、それで壊れるぐらいの友情関係をもとより維持する必要性など全く無いと思い切っていたからだろう。

そして、親戚にも支援を頼んだ。親戚は、昔から僕のことを知っている人ばかりなので、親身になって応援してくれた。

クラウドファンディングには3分の1の法則というのがあるらしい。目標金額の3分の1は本当に身近な人から、3分の1は本当に身近な人の周りの人から、3分の1は全く知らない人から支援が入るというものだ。

これが僕の場合はというと、5割から6割は親戚や身近な友人から支援をしてもらえた。ありがたい限りであった。

こうしてクラウドファンディングには成功した。そして気合いを入れ直してメディア立ち上げの準備をする。
スタートラインから次のスタートラインへ向かうレースをこうして繰り返して行く。

メディア立ち上げを実施した時のこと

サーバーを借りてWebサイトを作っていく

エンジニアリングに関しては少しできるので、サーバーを借りて、WordPressを導入して、ドメインを取得して、SSL化するという一連の操作にはほとんど詰まることはなかった。

個人ブログを運営していてその知見があるので、サイトを作るのは2回目のようなものだ。

ただし、個人ブログはCentOSとApacheで動いているのに対し、今回はUbuntuとNginxで動かしてみた。静的ファイルへのリクエストを大量に捌く必要のあるWebメディアの場合はNginxが良いらしいというのを聞いて実践している。

ライターの方々に書き始めてもらう

サイトが完成した後は、先行ライターの中ですぐにでも書き始められると言っていただいていた方々に実際に記事を書き始めていってもらった。

この段階で、1つ反省点としてあるのが、僕は書いていただく際に、「お忙しいとは思いますが、できるだけ早いうちにまずはテンプレに沿って初稿を完成させてください」というような連絡をしていた。

今になって思うのが、期限をちゃんと提示して募集や依頼をしたほうが相手も書きやすい。

だから「12/9に公開したいので、12/7には内容は完成している状態にしておきたい」ぐらいの具体性が必要だし、それが無理だと言われたら改めてリスケジュールしたら良いのだ。

具体性であればあるほど、本当に進展していく。具体性がなければ進展するのは気持ちだけである。

これに気が付くことができたのは、サイト公開のタイミングから引き続き現在まで記事の集まりが想定外に悪いからである。

ただし、ライターの募集自体がうまくいかないというわけではなくて、ライター募集また記事編集のフローを確立しきれていないというのが大きい。

なにはともあれライターの方々のおかげでサイトを公開することができて、記事もだんだん出来上がってきているのでこれからに乞うご期待である。

ライター募集に持続可能性を持たせる

当初はサイト公開後は1週間に3記事の公開をするという予定だった。しかし、現在その目処は立っていない。だが、どうしたら週3記事の公開ができそうかというのは考えている。

まず、メディアの立ち上げが初めての僕にとって、週3記事の公開というのは結構難しいということは理解しておく必要がある。
現在のフローのままでは週1が限界だと思っている。では、まず今どのように新しい記事を作り上げているのか。

まず、このメディアに載せたい学問分野にマッチする研究室のホームページをネットで探して、メールを送り続ける。現在は体感では合計3時間ぐらいかかって30個ぐらいの研究室にメールを送信していけば、大学院生のライターが1人興味を持ってくれるぐらいの割合だ。

次にその大学院生に対して記事作成のフローを説明したり、予定調整をしたりする。

そして記事を作成し始める段階に入ったら、文章の流れに違和感がないか、難易度の設定は正しいか、指定した文章スタイル通りになっているか、日本語がおかしいところがないか、などを確認していく。

それが終わったら、文字が多くて図や写真が少ない記事には図解を作成して載せていく。

これが大まかな流れだ。そして現在はこれを全て僕が一人で行っている。

1人でこのフローを週3個分こなすのは、無理だ!

だから、今はこの作業を他の人にもできるように分離していくのを画策している。

具体的には、管理役と編集役を募集しようと思っていて、管理役にはライターの募集から予定調整までを担当してもらい、編集役には記事の編集を担当してもらい、僕は記事の最終チェックと足りないポジションを補うという役割を担おうと思っている。

どちらも成果に応じた報酬を支払おうと思っているので、この記事を読んでいて興味のある方は連絡をください。Twitterのダイレクトメールが開かれているのでそこから連絡をください。

デザインに関してしたこと

天才的なロゴを思いついた

紆余曲折あってロゴは自分で作ることになった。Webデザインを手伝ってもらった方にレビューを受けながらノート(iPad)に色々アイディアを書いていたら、お気に入りのものができた。

僕がロゴに求めたのは、「シンプルで誰にでも書ける、そして洗練されている」というものだった。

アイディア出しをしている時に、びっくりマークにもはてなマークにも見えるマークにしようと思いたった。
学問や研究といえば驚きと不思議に満ちているものだから、ロゴとしてはそれを利用するのが適切に思えたのだ。

ただし、そうは言ってもびっくりマークにもはてなマークにも見える図形はいくらでも思いついた。

↓アイディアノートの一部分

何か完成したようなまだ何か足りないような気持ちに迷いながらも、ある時僕は閃いた。

この閃きは「閃いた」という感覚をロゴに入れようと考えたことによる。つまり、びっくりマークにもはてなマークにも見える図形を閃きの象徴である電球マークに見立てることによって、このロゴは完成したのだ。

びっくりマークにもはてなマークにも見える図形を電球の形に整えて手書き風にアレンジしたロゴマーク

こうしてできたロゴは、僕の中で完全に満足のいくものとなった。

わかりやすさを大切にするなら図解が大切

研究をわかりやすく解説するというコンセプトのメディアにとって、図や写真など、視覚的に楽しめるコンテンツはとても重要になる。

文字ばかりがずっと続いてしまうと、読まれなくなってしまう。かと言って研究分野によっては、図を入れるのが難しい分野があるのも事実だ。そこで、文字ばっかりになってしまう記事に対しては、図を入れることにした。

わかりやすく、シンプルな図を作る上では、この記事(誰も教えてくれない「分かりやすく美しい図の作り方」超具体的な20のテクニック)を参考にした。

色の統一、文章でごちゃごちゃ書かずに文字を少なくしてシンプルにする。
という二点でもどんどん良い図解になるということを実感した。

あとがき

これからはもっと記事の本数を増やして、サイトを成長させて行きたいと思っている。

現在は地道な作業が多いが、これからもっともっとできることが増えていくと考えたらとてもワクワクします。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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