滝の魅力を伝える【蜻蛉の滝】

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二年前のことを回想する。

高校三年生の冬。
センター試験の次の日の話である。
開放感で浮ついていた僕は、一人で滝を見に行くことにした。
奈良県にある蜻蛉(せいれい)の滝に向かった。

滝の最寄り駅まで電車で向かい、そこから自転車をレンタルした。
「電動自転車もありますけど、どうしますか?」
この旅の最大の過ちは、この時の強がりだった。

山、山、山。
漕いでも漕いでも、山!!!
奈良県を甘く見ていた。
いや、奈良県といえど北西部の盆地側に住んでいたので、遠くに見える山々がこんなに険しいことを実感する機会はあまりなかった。

真冬の防寒着に身を包むのが暑苦しくて敵わない。
暑い。上着を脱げど、暑い!
しんどい。電動自転車だったら楽に行けただろう、坂道の登り降りを繰り返した。

そんな時に目の前に現れた、トンネル。
これは相当長そうだ。

自転車が通ることができるような幅の車線ではない。まず、誰もこんなところを自転車で通らないのだろう。
そこに後ろから来る重量トラック。
「ドドドドドドドドドドっっっっっっっっッ」
爆音!暗闇!恐怖!

人生はこんな暗い怖いトンネルを駆け抜けるようなものなのかもしれない、などと考えていた。
遠くに現れた微かな光を目指しながら。
その時の僕は不思議と、ワクワクした気持ちに溢れていた。

トンネルを抜ければ、間も無く滝についた。
蜻蛉の滝である。

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水!水!水!
とめどなく溢れ出す、水!
か弱い生きている僕と、力強い生きていない滝。
時と滝が僕を残して流れていった。

興奮しきった僕は辺りを散策した後、滝壺まで足を伸ばした。
蜻蛉の滝は数段の滝になっていて、この滝壺は壺というよりも池のようなものである。
一月も終盤の寒い時期なので、周りを見渡しても誰もいなかった。
そっと服を脱ぐ。靴を脱ぎ、ズボンを脱ぐ。
パンツ一丁ならぬタイツ一丁である。
繰り返すが、今はとても寒い時期である。

僕は、滝壺に飛び込んだ。

三秒後、急いで上がった。
「つっっっっっっっっめたあああ!!」

蜻蛉の滝

所在地

奈良県吉野郡川上村西河

滝周辺には公園があり、春にはしだれ桜が楽しめるようだ。
また、階段が整備されているので危険な場所ではない。

名前の由来

蜻蛉とはとんぼのことで、雄略天皇のひじに食いついた虻をとんぼが噛み殺したという伝説から来ているそうだ。

オススメポイント

個人的には人が少なくてゆっくりした時間を過ごせる冬もいいと思う。
桜が沢山植えられていたので、春は人が増えそうだ。
暑い夏に涼みに来たいところでもある。
秋は紅葉と共に滝が楽しめるだろう。

迫力のある滝が近くから観れる場所なので、ぜひ一度訪れてみてほしい。

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