美しい四桁の数字を教えよう
四桁の数字は美しい。五桁以上の数字はごちゃごちゃしすぎている。その点、四桁の数字はちょうどいい。
僕は三桁以下の桁数の数字も好きだ。ただ、少し単純すぎたり馴染み深すぎたりして四桁の数字に見られる新鮮さが薄れてしまう時もある。
四桁と五桁の間にあるこの隔たりは一体何なのだろうか。
つまりどうして四桁は美しくて五桁はごちゃごちゃしていると僕は感じたのか。
それは人間の能力不足によって生まれる障壁であり自然の中に4と5を隔てるものなどないとも考えられる。
確かにその通りかもしれない。ただ自然界さえも、確かに4と5の間に隔たりを生んでいるのだ。
例えば四次以下の方程式は全て解の公式を持つが、五次以上の方程式は解の公式を持たない!
このように自然界さえも4と5の間の隔たりを表現しているのではないだろうか。
そして自然界の単純さや美しさの許容範囲と人間(少なくとも僕)の感受性における許容範囲が一致する可能性はなんと頼もしいのだろう。
3456との出会い
高校二年生の時の授業中だっただろうか。
先生の話に半分だけ耳を傾けたまま、僕はよく数学の研究(遊び)に熱中していた。
例えば、\(x\)の\(x\)乗根の値(\(\sqrt[x]{x}\))が最大になるのは\(x=e\)の時であることを発見して当時の僕は喜んでいた。これは証明自体は簡単だったのだが、発見するというプロセスの難しさと感動を知った。
そして3456という数字と出会ったのである。
小さな数字を三乗した値を書き出していた僕は、ある時この関係式に気づいた。
\(3^3+4^3+5^3=6^3\)
である。
シンプルで美しい。
僕は今まで誰もが気付かなかった宝箱を見つけたような気分になった。
そして四桁でこのような関係式を満たす数字の組は他にあるのだろうかと考えた。当然、5436や4536なども最初の三つの位の三乗の和が最後の位の三乗になっているが、このような数字は全て3456と同一視して考えている。そしてそのような数字はあと一つだけあることに気付いた。
1689である。つまり、
\(1^3+6^3+8^3=9^3\)
が成り立っている。
このようにして3456や1689という数字が好きになったのだが、同時に四桁以下の数字全てについてこのように愛着が湧くような性質が考えられるに違いないと思った。
そして僕は四桁の数字を中心に色んな数字の性質を自分で見つけようと試みた。
数字の代表的な分類
数字(とりわけ四桁の数字)を分類するためのカテゴリー分けは沢山考えられるが、代表的なものを取り上げる。
素数
素数の中でも双子素数やメルセンヌ素数など色々な素数が考えられる。
四桁の数字が素数かどうかを判定するは少し時間がかかる。
累乗数
その数字が平方数や立方数になっているかが考えられる。
四桁までの平方数に絞れば、1の二乗から99の二乗までの99個の平方数しかない。
数字の分解
約数の総和による分類や、素因数分解した時の数字の特性によって分類することが考えられる。四桁の数字を二桁ずつに分けて考える場合もある。
代表的な例で言うと完全数がこのカテゴリーに入る。
美しい四桁の数字
美しい数字の具体例を3456や1689の他にも挙げておこう。
僕は平方数が大好きなのだが、四桁の平方数の中で面白い性質を示すものは
1089と9801がある。
これらはどちらも平方数であり(\(33^2と99^2\))、逆から読むともう一方の数字になっている。このような四桁の数字のペアは他にない!
また、
\(88×88=7744\)
であり、
\(77×44=3388\)
である。
この二つの掛け算のように四桁の数字の上の二桁と下の二桁がどちらも11の倍数となるもので二つの11の倍数に分解できるものは7744と3388のみである。
7744がなんだがすごい数字のように思えてくる。
また、1から49までの和は1225である。このような時に1225は三角数であるというが、\(1225=35^2\)となり1225は平方数にもなる。平方数であって三角数でもある数字は結構珍しい。そして1225は12月25日を表している。「クリスマス」を「メリー」たらしめるものは他でもなくこの性質だろう!
どのようにしてこのような数字の性質を見つけることができるのだろうか。
それは、数字で遊ぶことだ。
平方数を計算してみたり、単純に四則演算を繰り返してみるだけで意外な性質が見つかることもある。
もしも数学に興味が持てたら、初等的な整数論を学んでも良いかもしれない!
例えば、僕も持っている「はじめての数論」という本は基本的な内容からすごく発展した内容までカバーしている。内容も分かりやすくて演習問題も楽しいので本当にオススメの一冊である。
最後に
数学の研究というと、代数・幾何・解析などの分野で最先端の学問を学ばなければいけないのかと思われるかもしれないが、僕はそうは思わない。
自分が綺麗だと思える数字を見つけていくことだって、立派な研究なのではないだろうか。
「好きな数字はなんですか?」
そう聞かれると僕は
「3456です。あなたは?」
と聞き返すだろう。その時に僕は、ある数字の新たな一面を知ることができることを望むのだ。それはもう何でもいい、語呂合わせでも何かの記念日でもいい。数字に対する愛着心を感じると僕は嬉しくなる。
数字に溢れたこの世界なのだから、数字を愛する人で溢れるこの世界であってほしいと願う。
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