分数の割り算をするときに、逆数をかけるのはどうしてだろう?

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以前「京大理学部数学科の人が数学の質問とかその他なんでも答えていく」というYouTubeのLive配信をしたのだが、そこでこんな質問があった。

「分数の割り算をするときに逆数をかけるのはどうしてですか?」

こういう根源的な問題を考えることは非常に大切だと思うので、記事を書いておく。

足し算、引き算、掛け算。
ここまではある種似ている。何が似ているかというと、これらは全て、整数に対して行われる演算ということだ。

だが、割り算。これは少し厄介だ。
\(6÷3=2\)のように、答えが整数になってくれる場合は良いが、整数の中に答えがない場合が出てくるのだ。
\(4÷3\)のような整数同士の割り算もまだシンプルだ。
3個に分けたうちの4つ、答えは\(\frac{4}{3}\)だ。

だが次に\(5÷\frac{6}{7}\)を計算するとしよう。
ここで、ケーキを3つに分けて…なんていう説明をしていた先生は困惑するはずだ。
ケーキを\(\frac{6}{7}\)つに分けるなんて意味不明だからだ。もしかしたらこのように言う先生もいるかもしれない。「分数の割り算をする時は、逆数をかけます。これはルールなんです。」

こうして理屈を抜きに教えることがいい結果を生むことだってあるかもしれない。
ある程度知識をつけた後に振り返って考えることで今まで飛ばしてきた理屈が見えるかもしれないからだ。

ただ、分数の割り算に関しては、それほど大げさな問題でもない。
逆数をかけるという行為の説明は小学生でも理解できる理屈のはずだ。

ここで大切なのは、割り算とは何かという問題だ。
定義が曖昧なまま話を進めてはいけないのだ。

ズバリ、割り算とは掛け算の逆だ。
ここでポイントは、割り算の定義に掛け算を持ち出してくるところなのだ。

超ざっくりと割り算は掛け算の逆だと言われたところで何のこっちゃわからないと思う。

もう少し詳しくいうと、「ある数で掛けた後に同じ数で割ったら何も変化しない」というのが割り算の定義なのだ。

例えば、\(1×7÷7=1\)、\(3×\frac{6}{7}÷\frac{6}{7}=3\)というのが割り算の定義の具体的な形なのだ。

この\(÷\)という演算は\(×\)を使って表現するとどう書き換えることができるだろうか。
先ほどの例で言うと、\(3×\frac{6}{7}÷\frac{6}{7}=3\)という式があったが、\(3×\frac{6}{7}×\frac{7}{6}=3\)という式もまた正しい。
見比べると、\(÷\frac{6}{7}\)のところが\(×\frac{7}{6}\)に置き換わっているのだ。
このような式を考えることによって、割り算と逆数の掛け算を同一視できるのだ。

「ある数で掛けた後に同じ数で割ったら何も変化しない」というのが割り算の定義であったが、「ある数で掛けた後にその逆数を掛けたら何も変化しない」というのは事実としてある。

だから、割るという行為が逆数を掛けるという行為に等しいということが言えたのだ。

割り算というのが逆元(あえて一般化して難しい言葉を使う)の掛け算であるというのは、割り算の第一の定義としてあげられるかと思うが、それは根本的には「掛けて割ったら変化しない」という性質から導かれているように思う。

以上、分数の割り算が逆数の掛け算になる理由についてでした。

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